「人工知能は人間を超えるか」を読んだ感想~AIを知るための入門書として最適~

「人工知能は人間を超えるか」を読んだ感想~AIを知るための入門書として最適~

「人工知能は人間を超えるか -ディープラーニングの先にあるもの-」とは、人工知能の研究者でもある、東京大学准教授の松尾豊氏による書籍である。

テクノロジーの世界は日進月歩だ。本書の初版発行が2015年3月とのことで、当記事を書いている2019年1月時点では、本書の内容から大幅に進展した研究結果も出ているかもしれない。

ただそれでも人工知能という難解なテーマに対して、図解も使用しながら分かりやすい説明がなされている。それに終盤に向かうに従い、著者による人工知能の未来予測も記されている。

人工知能を知る上では、入門書としての一冊として最適である。

 

昨今のAIブームは3度目の春

本当に数年前からAIや人工知能という単語を耳にする機会が圧倒的に増えた。
※ちなみにAIは「artificial intelligence(人工知能)」の略であり、人工知能とAIは同じ意味である。

ただ本書によると、昨今のAIブームは3度目の春とのこと。第一次ブームは1950年代後半~1960年代にかけて。第二次ブームは1980年代に人工知能がもてはやされていたようだ。

ただブームというものは過熱感が高まりすぎることもあり、必要以上に人々の期待を膨らましてしまうもの。世間では「人工知能が人々を脅かす存在に・・」なんて言われたりもするが、著者が説明するには、現在の人工知能はまだまだ本当の意味で人工知能と呼べるものではないということだ。

とはいえブームによって人々の関心が向けられるのはよいことだ(研究予算とかも潤沢になるだろうしね)。ブームが去った冬の時代になると、研究者としては肩身の狭い思いもするようだし。

人工知能は今はまだまだ完璧ではないにしろ、必ず世界の仕組みや人々の価値観を一変するようなテクノロジーまで昇華していくと僕自身も思っている。一過性のブームではなく、長い目で注目していきたい。

 

人工知能搭載の家電はまがいもの

昨今の人工知能ブームに便乗してだが、「人工知能搭載の家電」なるものが増えてきた。確かに人の目を引きやすいが、そのほとんどは人工知能と呼べるような代物ではない。と、著者も語っている。

僕自身もソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートさせたので分かるが、人工知能搭載と言っておきながら「ただの制御プログラムでしょ。それ。」というようなものが山ほどある。

人工知能が人工知能と呼ばれるには、やはり”知能”がなくてはいけない。ただの制御プログラムはとても人工知能とは呼べない。・・とは言いつつも「人工知能搭載」というセールス文句についつい踊らされちゃうのだけどね。

 

ディープラーニングが人工知能発展の鍵

第三次AIブームのポイントは、ディープラーニングだ。日本語に直訳すると”深層学習”となるわけだが、ディープラーニングの登場(というか、ようやく日の目をみたこと)で、人工知能が新たなステージに突入しようとしている。

蓄積されたデータとプログラムによって、知能があるように見せていた人工知能が、機械学習によって判断力を得るようになった。それもニューラルネットワークという、より人間の脳みその構造に近い手法を用いることによって。
(書いていてしっかりと説明できているが不安だが・・)

とても画期的な技術ではあるのだが、それでもまだまだ人工知能というものの入り口が開いたにすぎないらしい。(もちろん人工知能というものの定義にもよるが・・[その定義も本書では各専門家の見解が紹介されている])

 

いつかやってくるシンギュラリティ

人工知能研究においては、まだまだ乗り越えなければならない課題はいくつもあるのだろうが、シンギュラリティ(技術的特異点)は必ずやってくる。

シンギュラリティとは人工知能が人間の知能を越すタイミングのことで、一般的には2045年にその時が訪れると言われている。

もちろんいきなり人知を超えるような人工知能が登場するわけでなく、本書でも何段階かあるステップを踏みながら、徐々に発展していくと書かれている。

 

我々がどう対応するのか?

本書の終盤になると著者自身の人工知能と人類の関係性や、未来予測的な部分まで言及されている。

もちろん人知を超えるような人工知能の登場は、我々にとっても未知との遭遇であるし、未来予測に絶対はない。ただテクノロジーの発展を抑制するような流れになることも現実的ではないだろう。

今から身構えることもないとは思うが、今以上に人工知能が発展し、シンギュラリティを迎えたとき、どのような世界になっていて、人々がどのような価値観を抱くのかは非常に気になるところだし、個人的に興味深くもある。

 

おわりに

人工知能に対する理解に関して、本書を読んで僕自身も勘違いを起こしている点もあるかもしれないが、小難しい人工知能の話を、少しは理解できるようになったかな。

さすが東京大学の准教授がまとめただけあって、とにかく本書は説明が分かりやすい。人工知能について知るための最初の一冊として読んでおきたい本であった。

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