「(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―」はめくるめく林檎ワールドに魅了される

「(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―」はめくるめく林檎ワールドに魅了される

「(生)林檎博’14 ―年女の逆襲―」とは2014年に行われた、椎名林檎によるアリーナツアー。”林檎博”と名がつく節目公演となる。

DVDは初回限定版のみの生産だったが、2018年にはようやく通常版も発売された。通常版のリリースを心待ちにしていた人も多かったんじゃないかな。

今回もDVDを観た感想を書いていくわけだが、言うまでもなく内容はめっちゃ最高なのである。

椎名林檎の世界に焦点があてられた林檎博覧会

今回のライブは林檎博であり、椎名林檎の博覧会である。ということはもちろんライブテーマは椎名林檎自身と言ってよい。

だけど林檎博といえば、2008年に行われた「椎名林檎 (生)林檎博’08 〜10周年記念祭〜」がある。今回は何が違うの? と思われるかもしれないが、林檎博’08のテーマが椎名林檎自身(軌跡とか存在自体)に焦点を当てたものならば、今回の林檎博’14では椎名林檎の世界に焦点を当てたような内容になっている(と感じた)。

さながら林檎ワールドの博覧会といったところかな。

 

オムニバス形式のライブ構成で息つく暇もない

それも今回の公演では、始まりから終わりまで一貫した世界観があるというよりかは、いくつかのショートストーリーが繰り広げられるように、公演内でも趣旨の異なる数多の林檎ワールドをみせてくれる。言うなればオムニバス形式のライブと表現してもよいかもしれない。

と言うのも、どうやら本公演では林檎博という大テーマの中に「天地創造」「文明開化」「心中未遂」「任務遂行」「輪廻転生」「開店準備」「閉店準備」といった小テーマが設けられているようで、楽曲なり、衣装なり、構成なり、それぞれのテーマに沿った演出がなされている。

(「天地創造」と「文明開化」の境目は衣装が変わる”今”と”葬列”の間なのかな・・ それとも”赤道を越えたら”と”都合のいい身体”の間なのかな・・ はたまた別のタイミングなのかな)

とにもかくにも林檎さんが創りだすめくるめく世界に魅了されて、息をつく暇もないほどに、あっという間に時間が過ぎていく。

 

キャバレー構想を具現化した世界

公演中に表現されるいくつかのテーマ、どれも林檎さんならではの世界観で最高(2回目)なんだけど、特に注目は「開店準備」あたりかな。

たぶん「流行~静かなる逆襲」ぐらいが「開店準備」としての内容になっていると思うんだけど、かねてより林檎さんが口にするキャバレー構想を具現化したような世界になっている。

キャバレーといっても決して下品なものなんかじゃなく、華やかで、凛として、絢爛で、一種の美しさをまとうような雰囲気がある。もはや生きざまさえそこに表れているように感じてしまう。

こんなキャバレーでお酒を嗜むような大人な空間が実際にあるのなら、足しげく通いたいものだな。

 

豪華な演出

アリーナレベルでの公演ということもあって、演出はとても豪華で見応えがある。

DVDでは大阪城ホール公演の様子が収められているのだが、アリーナ席には花道が用意されているし、斎藤ネコさん率いるオーケストラ隊もバンドメンバーに加わり、”銀河帝国軍楽団”による演奏も素晴らしいし、AyaBambiもいるし(もう二人の姿をみれないのは悲しいな)、電飾だって、映像だって、ライト演出だって、とてもとても作り込まれている。

そして何より主演を務めるのは我らが椎名林檎というわけ。もう最高(3回目)になるに決まっている。というか、なるべくしてなっている。とにかく見応えあるライブというか、ショーというか、舞台というか、実演になっているのだ。

 

それでは個別の楽曲の感想を

ひとつの公演から抜粋して感想を述べるという行為もおこがましいぐらいではあるが、今回も僭越ながら、僕の個人的なコメントを残しておこうか。

【1.今
始まりから本気の演出で、いきなりテンション上がりますよ。中央スクリーンの映像演出で気持ちが高まっているところに、花道を船に乗って後方から林檎さんが登場するもんだから、DVDで観ているにもかかわらず油断してると涙してしまう。

水面を表現するレーザー光線の使い方がなんとも上手。とっても幻想的な雰囲気で、まさに天地創造の存在。実際そのアリーナ空間を創造・支配している主は林檎さんなのだけどね。


【5.やっつけ仕事】

ギターをかき鳴らす林檎さんはロック少女といった感じで素敵ですね。今回エレキを使うのはこの曲とNIPPONぐらいだったかな。


【12.暗夜の心中立て】

石川さゆりさんへの提供曲。本公演とは別だけど、この曲は石川さゆり本人が歌うとめちゃくちゃハマっているし、本当に石川さゆりさんのことを考えて作られた一曲だということが分かる。

言わずもがな林檎さんが歌うバージョンも好きなんですけどね。


【16~18.ちちんぷいぷい、密偵物語、殺し屋危機一髪
ちちんぷいぷい~殺し屋危機一髪までの3曲は、もう一連の流れでひとつみたいな感じ(「椎名林檎と彼奴等による 陰翳礼讃2016」でもこの流れだったし)。どれも格好いい曲だよね。


【22.自由へ道連れ】
まさかのスケボー! 花道近くにいた人が本当にうらやましい。

そして日本一拡声器が似合う歌手なんじゃないかな。
・・・というか「拡声器が似合う歌手」なんて書いてて冷静になると、普通の歌手は拡声器では歌わないし、自分何言ってんだろうとさえ思う。林檎さんは拡声器を手にして様になる唯一無二の歌手であるんだな。


【23.流行】
ここから一気に華やかな世界へ。

Mummy-Dがいなくてもご安心を。浮雲が歌うからね。


【24.主演の女】
主演の女ってもともとはPUFFYへの提供曲だし、特に意識して聞いていなかったんだけど、林檎博’14の実演を観てめっちゃ好きになってしまった。むしろ主演の女はここだけ何回もリピートして観たぐらい、僕にとって今回のハイライトだった。

林檎さんの背中に羽がついちゃうし、スカートも取っちゃうし、全開の椎名林檎で盛り上がりも最高潮。


【25.静かなる逆襲】
今回のライブは「年女の逆襲」だし、ツアータイトルともリンクする一曲。逆襲というぐらいだから、これからの椎名林檎をみてくれ! みたいな感じなのかな。音楽家らしく楽曲にて何もかも表現できる林檎さんはすごいな。


【26.マヤカシ優男】
ここからはアンコール。

実演を観て、三文ゴシップ収録の楽曲自体もより一層好きになるパターン。林檎さん格好良すぎだし、ヒイズミ氏の鍵盤も素敵や。アンコールという時間だけに、純粋にその場を楽しんでいるような表情をしておられる。


【27.ありきたりな女】
アンコールの2曲目で、最後の最後となるのがこの”ありきたりな女”。

ちょうど娘さんの育児にも追われてるころだろうし、めっちゃ気持ちが乗っている気がする。なんか母親でいることの強い意志を感じさせてくれる。本曲の歌唱は圧巻。

こんな感じでまた知ったような口をたたいてしまった。でも林檎博’14は本当にすごいのだ。一曲一曲、どれも素晴らしいわけだが、ファンの間では推し曲なんかも違うから、それぞれの楽しみ方もあると思う。

 

おわりに

やはりアリーナ公演ともなると、演出がとても豪勢になるから、エンターテイメント性も高くなるし、見応えもある。

それに今回の博覧会では、林檎さんが創造する世界をまじまじとみせてもらえて、本当に満足度100パーセント。めくるめく林檎ワールドが展開されているし、もう生まれ変わったら林檎さんの世界に転生したいぐらい。

結局のところ何が言いたいかというとだな、うーん・・とにもかくにも最高(4回目)!

 

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